12期の広場

12期の広場

長引くコロナ禍の中で体験‣経験したこと

8組  末廣 訂
 
 *長い巣ごもりを通して
 2020年の春先から降ってわいたようにマスコミで報道され、アッという間に世界にまん延したのが中国武漢から発したとされる新型コロナウイルスで、人々を不安のどん底に叩き落とした。
 今まで経験したことがないコロナ禍生活も、早1年半にもなる。当初は英国船籍のクルーズ船の横浜寄港云々から、オリンピック開催の延期、そして、志村けんさんの死去で、緊張感が高まった。
 アベノマスクは不評で税金の無駄使いに終わった。マイナンバーカードが使い物にならず、日本政府のIT化やデジタル化遅れを露呈してしまった。PCR検査が行き渡らず、政府は経済優先か感染対応優先か方針が定まらず、第1波、第2波と感染の山があったが、少し下がったところで、GO-TO キャンペーンといった旅行や食事にクーポン券を出し景気をあおるも、今年に入って、再度非常事態宣言が出され6月現在も続いている。
 今回のコロナ流行により、我々の生活が180度転換し、或いは全く経験したことのない世界に突入するきっかけが始まったように思う。
 その1つが、働き方。これまでの労働のあり方が大きく変わると思う。
テレワークという、会社に出勤しない自宅勤務で今まで通りの成果を上げる勤務形態である。これは、従来の様に会社は大きなオフィスが不要、便利で地価の高い都心部から空気のキレイな田舎に移転、従業員はワーケーションと称し、娯楽と仕事を上手くミックスして生活を楽しむことができる。次女の夫は、昨年初夏に東京単身勤務から大阪の自宅に戻り、遠隔操作でシステムエンジニアの仕事をしている。
 その2は、デジタル化、IT化というDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現がますます進んでくる。 これはアナログという言葉からデジタル化という方向に向かうことで、例えば、オンライン会議、授業、採用試験、ペーパーレス化、遠隔医療と電子カルテ等、限りなく広がってくる。 70代の家内が音楽(オカリナ)のレッスンを受けているが、最近はオンラインに切り替えて自宅で練習をしている。
 昨年はコロナの中で、安倍首相の突然の辞任表明で菅新内閣の発足、東京五輪・パラリンピックの延期、そして大阪人には忘れられない「大阪都構想の再投票」で否決された。
 会社のOB会、同窓会や地域や仲間の会が中止、また、地元の夏祭りや諸行事が中止される中、300年以上続いて大阪府無形文化財に指定されている海老江八坂神社の宮座神事をこのような状況でどうするのか、たまたま今年の頭屋に当たっていた我が家は、コロナで神事の続行できるのか心配したが、座衆で話し合いした結果、松明行列や直会を中止して、饗料理のお供え神事のみを行って無事に終えることができた。また、中学1年生になる孫が古式の装束で参加してくれたのがよい思い出となった。
 2021年に入っても、一向に衰えることのないコロナの感染が新たな変異種・イギリス型、インド型になり、さらに拡大する勢いである。新型コロナの影響や問題を災難と受け取るか、或いは変化を上手く利用して「禍を転じて福と為す」という勝者になりうるかどうかが大きな分かれ目になると思う。
 人間の知恵と自然界の摂理とのせめぎあいが容易にはおさまらない巣ごもりの中で、いろいろ考えたことは、「人間生きている間は元気で頑張る」そして「自分のことは自分で守る」しかないなーと思ったことです。

 *糠喜びした「アメリカの小切手」とバイデン大統領の手紙
 今年の4月末のこと、住所、宛名が英語のレターが届いた。 早速開封してみると、1枚の小さな紙に名前、住所の右下のサインの上にどうやら1400ドル(約15万余円)を標記した小切手のようであり、それ以外は、何の説明書も入ってなかった。
 今頃、アメリカ合衆国から高額なプレゼントが日本に住む元駐在員に何故来たのだろうかと不思議に思ったので、早速NY在住35年のパナソニックで同期のT君にメールした。T君はここ1年ほど、コロナでN.Yに帰れず東京に居り、問い合わせをした折は小切手の件はすでに知っていた。
 T君は小切手に関して既に20件ほどの問い合わせを受けており、質問の内容は「これは一体何なのか・本当にもらえる資格があるのか・どのようにして円転換するのか等々」。何の説明文もないため、処理をどうしたらよいのか、困惑した様子が伝わってきた。
 T君から「今回の小切手は、米国民のコロナ対策の3回目の支給であり、米国以外の居住者にその受給資格があるのかが問題である」と助言があった。また「受給資格云々について、我々日本人は知らないので、しばらくキャッシュ化しないで、様子を見ること。小切手は1年間有効ですから」と、アドバイスがあった。その後、詳しい情報がないまま、小切手を受け取った人は、どのようにしてこの小切手を現金化できるのか、また円に転換できる銀行はどこか等々で右往左往したという情報も入ってきた。私もその1人で大阪駅前にある、旧シテイバンクに聞きに行くと、多くの人が来ており、係員に同じような質問していた。
 そうこうしていると、今度は「バイデン大統領」の手紙が届いたので、ますます混迷した。
 5月の中ごろになって、日経新聞や朝日新聞が小切手の件を大きくとりあげた。双方の記事の結論は「元米国駐在員に届いた小切手は、コロナ対策給付金を日本に誤送付」とあり、「永住権がなく換金は違法」との事。何とも人騒がせな今回の小切手で、「美味しいケーキを食べようと口を開けたら、夢だった」。
 ぼちぼち小切手の裏に「VOID」と書き、テキサス州のIRS当局に返送しようかと思っているところである。ただ、この件で、何年振りかで元米国駐在の旧友や、同僚達と電話やネットで情報交換ができ、お互いの近況が聞けたのがせめてもの救いであった。

 *コロナのワクチン接種
 日本のワクチン接種開始がもう2ヶ月早く始まっていれば、我々の日常の生活、経済活動、医療のひっ迫等がここまでひどい状態になっていなかったのではないかと思うのは、私1人だけではないでしょう。
 日本製のワクチンが近々できるという報道もあったが、結局外国メーカーのワクチンが届くのを待つしかなく、後手になってしまった。
 コロナワクチン接種を受ける場所が増えているのに、意外と予約に苦労した。 私の場合、係りつけ医者はあるが、年数回の受診では接種の対象とならず、大阪市から来たハガキにより、5月31日、朝9時から、パソコンと家内の携帯も利用して予約申し込みをした。
 パソコンの受付は最初から動かず、電話は2機とも通話中でかからず、時間のみ過ぎていった。そうこうしているうちに1時間近くたったので、家でテレワーク中の近所にいる長女に無理を言って来てもらい、やっと市の受付とつながったが、すでに地元の福島区民センターは満席でダメ、他の区の会場を探すもすでに埋まっていた。ただ幸い中央区の中央スポーツセンターのみ13日の午前中があいており、滑り込みでとれた。
 一方、家内の方は、係りつけ医者に5月中旬にたまたま薬をもらいに行った翌日が接種受付日で、すでに1回目の接種を終えている。近所の会社のオーナーさんは、従業員5-6名がパソコンをフル稼動して、国際会議場の予約を取ったとか、またある人は、お孫さんに頼んでとったとか、それぞれ苦労されているようだ。
 直近では、自衛隊の大型会場には、東京、大阪 以外の他府県の方も自由に申し込み可能になり、接種年齢も下げて、職場や大学をも対象に範囲を広げている。
 全国の感染者数はやや減る傾向にあるが、まだまだ予断を許さない状態で、早く希望者が接種でき、五輪オリンピックも、うまくいくよう祈るばかりである。
(ワクチン接種1回目の6月13日; 記)