12期の広場

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四季の花籠 ― つれづれに ③

6組  高見 政博 
 冬の花々です。
 「山眠る」は冬の季語ですが、高い山は厚い雪に覆われて静かに眠っています。高山植物は当然雪の下です。里山でも冬に咲く花はほとんどありません。思うに、この時期は虫たちも冬眠中で大切な花粉を運んでくれるものが居ないのですから、花を咲かせても無駄だということを知ってのことでしょうか。
 そんなわけで、冬に咲く花と言えば山茶花、臘梅(ロウバイ)くらいしか思い浮かびません。昨年の12月のラインアップに掲載されたのは温室の花、洋蘭のデンファレでした。
 しかし、冬を12月から2月とすると選択肢が広がります。
2月も節分を過ぎると陽射しも幾分力強くなってきて、春の気配を感じる日があらわれます。春1番が吹く頃になると先駆けて咲き始める花があります。「スプリングエフェメラル(春の妖精)」と呼ばれる花々です。
 此処ではそんな花のいくつかを紹介します。
 


 「フクジュソウ」です。漢字にすると「福寿草」。めでたい名前から正月の縁起物として、松竹梅の盆栽飾りの下草としてつかわれますが、自然界では2月下旬頃に咲きます。六甲高山植物園で撮影しました。
この日は前日に冷たい雨が降り、標高の高い所にある高山植物園は雪になったようで、花には雪が積もっていました。それでも春を思わせる陽射しを受けてけなげに咲いています。その姿には感動をおぼえました。


 「ミスミソウ」です。この花の近縁種の「スハマソウ」とともに園芸店では「雪割草」の名前で売られています。しかし、「雪割草」という名前の花は高山植物にあって、全く違う花です。ちなみにミスミソウは「キンポウゲ科」雪割草は「サクラソウ科」です。
 直径1㎝に満たない花ですが、色や姿の変化が非常に多く、まるで別の花のように見えるものがあったりします。群落で咲いているところは、まるで昔、女の子が遊んでいた「おはじき」を撒き散らしたようで、たのしい光景です。

 「バイカオウレン」です。この花も2月下旬頃に咲きます。直径1㎝くらいの花で、一面大群落になります。2月下旬、先のフクジュソウと同じ日の撮影です。フクジュソウの項で述べたように前日雪が降って木々にはつららが下がっていて足下は凍結していました。そんな寒さの中で少し力強さを増した陽光を精一杯受けて咲いています。

 


 「セツブンソウ」です。名前のとおり節分の頃に咲きます。
 先のミスミソウやバイカオウレンと同じように、花びらに見えるのは萼が変化したもので、花は蘂(しべ)の根元にある黄色い部分で、蜜腺になっています。直径が2㎝弱の地味な目立たない花ですが、寒風の中、凜とした花姿が印象的です。


 
 
 これらの花々は冬の終わり頃、春に先駆けて咲く花々ですが、木々が葉を落として、林下は太陽の光が一杯にふりそそぎます。木の葉に覆われて薄暗くなる前にいち早く花を咲かせる。その知恵には感心します。
 
 

 

 最後に温室の花も一輪紹介します。「パフィオペディルム」です。
 洋蘭の一種で一見食虫植物の様な姿をしていますが、食虫植物ではありません。
 ヨーロッパでは「貴婦人のスリッパ」と呼ばれているそうです。








 

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