12期の広場

12期の広場

サラマリコン


市岡高校12期 萩原貞雄

 サラマリコン、シュクラン、インシャーラと聞いてピンとくる人はアラブの国に何かしら縁のある人だ。それぞれこんにちは、ありがとう、アラーの神の思し召しをという意味だ。 長年、プラント建設で中東諸国の仕事をしてきた。その中でもサウジアラビアとの付き合いが長かった。1日5回のお祈り、禁酒、豚肉の禁止などなど。

 その中でも女性が肌を見せることは厳禁だ。サウジはアラブ諸国でも厳格なイスラム教徒の国だ。女性は家の外では肌はおろか髪の毛、顔を見せてもいけない。そのため、頭の先から足首まで黒いベールを覆っており、目の部分だけを出しているのだ。でもヨーロッパのブランド品が並ぶショッピングセンターを覗くと服、靴、下着などは色もハデハデで家の中と外では大いに違うのだ。

 その国でのお話。プラント建設というと何年もかかるので長期でその国に滞在することになる。ある時正月を日本で過ごした私は新年をサウジで迎えた人の為にお土産をと思い、何が良いかいろいろ考えた。酒はご法度で、税関で見つかるとカラブチ(留置場)行きとなることを承知していた。中東のカラブチは待遇が極端に悪いのでそんなことはしない。 ビデオをお土産に持参することにした。いくつかのビデオを準備してサウジに持ち込んだ。当時はサウジの空港の入国審査、通関に半日位かかることも珍しくなかった。

 余談になるが、それまでにも入国する時、私のパスポートが1941年広島生まれとなっているのを見てお前良く生きていたなあと同情してくれたこともあった。原爆のことを言ってくれているのだ。実際は1941年大阪市港区生まれだがパスポートの発行が本籍の広島となっているためだ。

 それはさておき今回の入国審査は問題なくいつもの通りパス。 いよいよ通関となり荷物は全部調べられる。ビデオが出てきた。係官はそれを別室でチエックするという。しばらく待っていると係官が戻ってきてこれは持ち込めないという。なぜだと押し問答をしていたが係官はそれではこのビデオを一緒に見ようということになり別室に連れていかれビデオを再生した。ほどなく女性が舞台で歌っている場面が現れ、これがダメだという。 NHKの紅白歌合戦で女性歌手が歌っているだけの画面だ。少し胸や手足を出してはいるが。

親切にもビデオテープは画面を消せば持ち込めるという。 とんだお土産となった。



国際コンソーシアムでイタリアチームと打合。左から2人目が筆者。


我がチームでフィリッピンの連中と近郊へ遠足
 

サウジの砂漠でゴルフの練習

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