12期の広場

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「灘五郷めぐり」-第18回兵庫市岡歩こう会

投稿 高見 政博

 昔から京都の伏見と並んで酒造りが盛んな兵庫の「灘」。

 今回の兵庫市岡歩こう会はそんな灘の酒蔵を巡る企画です。江戸時代には伏見、伊丹、灘の酒は「上方の下り酒」と言い、上質の酒として珍重されました。「下らない物」という時の「下らない」はこの「下り酒」からといわれます。(どうでも良い下らない話)

 灘は、「灘五郷」と言われますが、それは西郷、御影、魚崎、西宮、今津を言います。今回は西郷から御影、魚崎の各郷の主だった酒造会社と、悲恋伝説の処女(おとめ)塚(づか)を訪ねる計画です。

 灘の酒造会社は16年前の「阪神淡路大震災」で被災し、酒蔵の倒壊等、生産設備に大きな被害を受け、小さな酒蔵では再起をあきらめたところも出るほどの状況から再起を遂げてきました。神戸に住むものにとって今年の東北関東大震災がそのことと重なって複雑な思いですが、こんな時こそ関西が元気をださなければとの思いからの企画です。

 4月17日、前日までの大雨と打って変わり、気持ちよく晴れて、少し肌寒いくらいです。阪神電鉄大石駅に午前9時30分集合。約50名の同窓生が集まりました。中には旧制中学卒の大先輩のお顔も多数見えます。12期生も末廣、吉岡、駒崎、古藤、久保田、段中、伊東、岸川、島田、畠平の各氏、畠平氏は夫妻での参加です。ちなみに今回の参加で最多は高13期の11名、次が12期の10名、3番目が旧制42期の7名でした。

 遅れて来た人を少し待って、9時45分出発。10分ほどで一番目の訪問先「沢の鶴」に到着。開館時間は10時と言うことで、まだ門前の掃除中。黒板塀の中から遅咲きの桜が満開の枝を伸ばしていました。


桜の前で

 ここで楽しみにしていた最初の試飲。適度に冷やされた蔵出しの生酒は下戸をもうならせる旨さでした。次に甲南漬の資料館へ向かう途中「都賀川」の河口を渡ります。「都賀川」は鉄砲水で大勢の人が流されて犠牲になった事故がまだ記憶に新しい。そのことを思いながら国道43号線沿いの「甲南武庫の郷」へ。ここで江本先生と遭遇。時間に遅れて置き去りになったので、2番目の訪問先の「甲南武庫の郷」へ直行すれば追いつくだろうと思って直行したとのこと。見事読みが当たったと仰っていました。先生にお歳を伺うと85歳といわれて、お元気さに一同感動! 今回は、その他に平賀先生、小掠先生も御参加下さいました。小掠先生は高5期生でもあります。


甲南漬

 次に向かったのは「処女塚」。ここは「処女塚」を真ん中に「東求女塚」と「西求女塚」の3つの古墳が並び、平安時代の「大和物語」、室町時代の謡曲「求塚」、さらに明治時代の森鴎外の戯曲「生田川」に受け継がれる悲恋伝説の場所です。

 それは「二人の青年が一人の美しい乙女を恋慕ったため、身を処しかねた乙女が嘆き悲しみついに死んでしまう。それを知った男性たちも悲しんで後を追った」という物語。
 

「塚の上の  木の枝なびけり  聞くがごと  珍(ち)努(ぬ)男にし  寄るべけらしも」 高橋蟲麿
「語りつぐ  からにもここら  戀しきを  ただ目に見けん  古への男のこ」 田邉福(さき)麻呂(まろ)
「古の  小竹田壮士の  妻問ひし  莵(う)原(ない)処女の  奥城ぞこれ」 田邉福麻呂
「処女等が  後のしるしと  黄楊(つげ)小櫛  生ひかわり生ひて  靡きけらしも」 大伴家持

 と歌っています。これらの歌を基に組み立てられた悲恋伝説ですが、実際は当地の豪族の墳墓であろうとのことです。

これらのことを江本先生に伺いながら、「神戸酒心館」、「白鶴」と記念館を巡り、その都度「利き酒」。 その後近くの公園で昼食です。

 公園の野球場では地元のクラブであろうか、少年たちが野球の試合をしています。見たところ小学生の3~4年生くらいか。しかし、少年とはいえ、なかなか本格的で、真剣に球を追っていました。

 昼食の後、恒例の参加者の自己紹介。会費集めなどの事務的な事を済ませて、午後の部へ。参加者の中には巡ってきた酒蔵で仕入れた酒をきこし召した方もおられたようで、午前より一層打ち解けて話しながら歩きます。午後の一番は「菊正宗」、ここでも非売品の蔵出しを試飲。「剣菱」は塀の横を素通り、「櫻正宗」へ。ここは「櫻宴」というレストランを併設しています。

 今日最後に訪問したのは「浜福鶴」。あまり聞きなれない酒蔵ですが、ここで蔵の人から、昔の酒造りの説明と、酒造りの「酛すり唄」と「酛すり」の実演。このとき、突然の指名で私が「酛すり」の相方を勤めることに。これは全くの「想定外」。照れながらつとめました。


酛すり

 その後の試飲は蔵人の勧め上手で次々に違う酒を試飲することに。皆さんつい乗せられてお土産を買っておられました。

 本日の行程はこれで終わり。このあと阪神電鉄の魚崎駅で秋の再会を約して解散となりました。
 

 ここで「兵庫市岡歩こう会」について簡単にご紹介しておきます。

 「兵庫市岡歩こう会」は、主に兵庫県在住の旧制市岡中学、新制市岡高校の卒業生及び市岡高校で教鞭をとっていただいた恩師を対象にした親睦会です。

 発足は2002年秋。それまでにあった、兵庫市岡会から発展的に誕生しました。

 そうはいっても、兵庫県在住を絶対条件にしているわけではなく、また市岡の卒業生を絶対条件にしているわけでもありません。他府県に住む卒業生。卒業生の家族、親戚、友人、知人等々。要するに市岡に縁のある方全部が対象のきわめて緩やかな運営をしています。

 行事は年2回、春と秋に一日、野山や、史跡などを歩きます。

 参加は自由。出欠の確認はとりません。案内した当日、集合場所、集合時間に来ていただいた方であらかじめ決めた所を歩きます。途中退席も自由です。コース選定は出来るだけ無理なく歩けることを心がけています。

 会費は参加していただいた方に、通信費と当日の記念写真代として原則1,000円頂いています。 その他に行き先によって、別途若干の実費負担をお願いしています(拝観料、入場料等)

 当日、弁当飲み物は各自用意していただきます。

 今年で丸9年が経過し、毎回旧制中学卒業の大先輩、恩師、高校30期位までの若者まで、奥様連れ、夫連れ、子供、孫連れ、友人知人と一緒など、40名~70名の御参加で楽しく歩いてきました。

 次回は秋。行先はまだ決まっていません。

 皆さん是非御参加ください。

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