12期の広場

12期の広場

しまなみ海道を歩いてきました。- ①

7組  張 志朗

  奈良市岡歩こう会の春のウォーキングは「しまなみ海道を歩く」で、5月21日、22日の一泊二日の日程で行われました。
  案内状に、しまなみ海道は「瀬戸大橋、明石海峡大橋についで最後に完成したルートです。車だけでなく、自転車やウォーキングのルートも用意された“人にやさしい”橋です。5月の薫風にふかれて眼下に瀬戸内海を眺めながら様々な橋をわたりませんか」とありました。野や山を歩くのはよくあることですが、海の上を歩く機会はそうありません。またしまなみ海道は初めてと言う事で、家内を誘って行ってきました。
 
 久しぶりに一泊の遠出です。前日からあれやこれやと準備にバタバタ。案内状にウォーキング予定距離は6km程度とありましたが、調べてみると、尾道から今治までのしまなみ海道は、全長が70km。なにがあるのか分からないので、足回りだけはちゃんとしておこうと、少々おおげさな格好で出かけました。(結果的には大正解でした)参加者は総勢37名、12期は久保田靖子さん(1組)、古藤知代子さん(4組)、高見政博君(6組)そして私と家内の5名です。
 21、22日ともにお天気は、絶好の五月晴れ、また道中は観光バスでした。
 初日、バスは8時に奈良グループを乗せて出発。大阪グループが乗り込んだのが8時50分で、因島大橋の向島アンカーレイジ(吊り橋のケーブルを引っ張っている“重し”)下に着いたのが、午後1時前でした。しまなみ海道は正式な呼び名が「西瀬戸自動車道」です。尾道水道に架かる「新尾道大橋」がその下り方面の始点になるのですが、私達は「新尾道大橋」をバスで通過し、しまなみ海道の一番目の島の向島に入って「因島大橋」からウォーキングをスタートさせました。ここでは「因島大橋」の橋桁を、真下から見上げる形になります。

 
 
 「因島大橋」は、全長1272m、主塔間隔が700m、道路面の高さが海面から50mの鉄骨トラス桁を持つ吊り橋です。
 
 私達が歩いたのは橋桁の下面に設けられた幅4mくらいの通路状の道です。自転車、バイクなども通れるようになっていました。車道は橋桁の上面で、頭の上で自動車の通る音が間断なく聞こえます。両側に金網が貼られいたため、少し視界が遮られるような感じがあったのが残念でしたが、眼下の海面や吹き渡る潮風、そして橋の腹部内側から見る桁トラスの構造美には満足しました。
 橋を渡りおえた所に展望台があるのですが、そこから見る橋の姿がやはり美しいものです。島の初夏の緑と瀬戸内の青い海、高く聳える白の主塔と優美な曲線をえがくメインケーブル、細木細工のようにリズム刻むトラス桁と両岸の巨大なアンカーレイジなど、吊り橋ならではの美しさと雄大さにしばし感動です。
 因島大橋をあとにし、しばらく歩いて待機していたバスに乗り、因島から生口島へ渡る「生口橋」に向かいました。
 「生口橋」は全長700m、主塔間隔が300m、コンクリート製の桁を持つ斜張橋です。吊り橋はメインケーブルが曲線ですが、斜張橋は直線で、「生口橋」の場合、片側14本、合計56本のケーブルで橋を支えています。主塔も頂部で三角形になっており、桁が薄く見えて、姿形が大変シャープです。ここからは、橋の欄干側の側道(歩道の感じ)を歩きました。行きかう自動車は、少なかったせいか、全く気になりません。橋の中央に立てば、大きな空と大海原の中に浮遊しているような感じがして、ことさらに潮風を心地良く感じました。街で決して味わうことの出来ない感覚です。主塔は一辺が4m位の鉄骨柱で、そこに拍子木がおいてあり、叩くと反響して更に大きな音になるのですが、それを「鳴き龍」と呼んでいます。面白がって私も叩いてみて納得です。
 生口島は平山郁夫画伯が生まれた島でもあり、島にはその記念館がありますが、そこを見学する時間はありませんでした。ただ、次の橋、「多々羅大橋」に向かうために降りた、瀬戸田パーキングエリアからの景色、眼前に広がる瀬戸内-燧灘の広々と青く、穏やか海と延々と連なり薄紫のかすむ島影を見て、機会があれば是非、平山郁夫記念館を訪れてみようと思いました。
 いよいよ初日、最後の橋、「多々羅大橋」です。全長1480m、主塔間隔890mの斜張橋です。「生口橋」と同じ斜張橋ですが、長大ゆえにケーブルの数も多くなり、桁も軽量化の為か、鉄骨の箱型形状と、異なっています。橋の中央に県境表示板がありました。生口島までが広島県、大三島からは愛媛県で、ここがおおむね「しまなみ海道ウォーキング」の中間地点のようです。
 橋の長さが長い分、視界も広がり、今日一番の解放感です。空も海も広い、広い。海の水も透明度が増したようです。橋道路面からの下、約30mの海面を漁船やレジャーボートらしき小型船が行き来します。港に帰るのでしょうか、数隻の船が一直線につらなり向かってきましたが、近くに来た船の船尾でコバルトブルーに変わる海水と白波の航跡が目に鮮やか。風は一層さわやかで、思わず立ち止まってしまいました。
 橋の西側にひょうたんを伏せたような形の小さな島が見えました。この島の名前は「瓢箪島」。そう、NHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルだそうです。たしかに昔テレビで見た、あの島の形そっくり。そんなことから、大三島に渡れば「ドンガバチョ」みたいな人に会えるのかもと妄想したのですが、当然ながら会えませんでした。
 
 「多々羅大橋」を渡りきった所が、大三島の道の駅「多々羅しまなみ公園」で、ここがウォーキングの初日の最終地点です。私がどんじりの方で、到着したのが4時45分頃ですから、おおよそ4時間弱の行程になりました。バスに乗っていた時間や休憩時間を差し引いても正味3時間近くは歩いていたようです。近頃は便利な計測道具があるようで、参加者がお持ちのそれによれと歩いた距離は約12km、階段の登り降りは16回だったと言います。足はパンパン、足裏に痛みがあり、明日は大丈夫だろうかと心配になりました。12期の久保田さん、古藤さんは何事もないように元気一杯でした。それにしても一人の落伍者やけが人もなく、37名全員が第1日目を完歩したのですから、その健脚ぶりには正直、驚くばかりです。
 大三島はしまなみ海道最大の島です。また、大山祇神社のある「神の島」ともよばれる島です。
 陽も傾き、暑さもやわらいで、一息いれました。名物の「塩ソフトクリーム」をほおばったのですが、これがなかなかの美味しさで、疲れた体にピッタリ。聞いて見れば、かの有名な「伯方の塩」によるもので、ここがその塩の産地だそうです。(伯方島は明日の予定ですが、「伯方の塩」の工場が大三島にある。)
 ウーキングが終わっての楽しみは、宿でのお風呂と食事です。宿は風情のある小さな港すぐ近くの「料理旅館富士見園」で、内風呂に入る人、外湯の「多々羅温泉」に行く人と別れて疲れと汗を流した後、大広間での夕食に舌鼓をうちました。
 料理は船盛りのお刺身中心の華やかな膳です。宿の人の話によれば、瀬戸内で捕れる魚でも、来島海峡にもまれたここの魚はひときわ美味しいとのこと、食べてみて成るほどと思いました。食事もさることながら、食事をしながらの自己紹介とスピーチ、ビールを片手のお喋りが、また絶品でした。


 
 最初に、奈良歩こう会の世話役を代表して13期の中務敦行さんが挨拶されました。続いて席順で自己紹介がありました。最初にスピーチされたのが、最高齢者、86才の大先輩の澤井さんです。次にスピーチされたのが、高校7期の清水さんで、81才です。今回のウオーキングには高校7期の方がもうお一人、参加しておられました。お三方とも初日の全行程をなにほどのことかのように完歩され、元気一杯。後でわかったのですが、澤井さんと清水さんは同じ会社の先輩、後輩の関係、また清水さんは12期で同期の吉瀬順子さんのお兄様でした。さらに奈良の富雄にお住いの澤井さんは、先頃亡くなられた久保武治君のテニス仲間とのことで、人のつながりの不思議さに驚き、嬉しくなりました。「つかれました」に始まり、「橋の上の潮風が最高に気持ちよかった」、「今週は落ち込んでいましたが、来週は元気に頑張れそうです」など、お人柄とその生活ぶりとユーモアに溢れるスピーチで、傍に置かれたカラオケの設備は最後まで見向きもされませんでした。
 翌日は、しまなみ海道きっての長大橋、「来島海峡第一、第二、第三大橋」(全長4150m)が控えています。その為に早々のお開きとなりましたが、疲れすぎたのでしょうか、寝入ったのが1時前だったようです。    
(次号につづく)

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