12期の広場
12期の広場
2017年7月1日
しまなみ海道を歩いてきましたー ②
5月22日、ウォーキング二日目です。
海辺の朝は、本当に気持ちが良いものです。雲一つない晴天。眼前の海の青と、対岸の生口島の観音山(しまなみ海道の島々で一番高い山だそうです)の緑が一層鮮やかです。早起きの家内と同室であった皆さんは、観音山にのぼる“ご来光”を見たそうです。
出発は8時。ここ大三島にある大山祇神社(おおやまずみじんじゃ)に向かいました。
社伝によれば、大山祇神社はおよそ2600年前、祭神である大山積神の子孫の乎知命(あちのみこ)により鎮祭されたとありました。全国にある一万社余の分社の総本社、山の神、海の神、戦いの神として尊崇を集めてきたそうです。また、村上水軍ゆかりの神社でもあります。
朝早かったせいでしょう、一般参拝客は見当たりません。静けさの中、鬱蒼とした木々の緑に囲まれ陽を浴びる神社境内は、すがすがしいの一言です。
大山祇神社にはくすのきが多く、その内の巨木、38本が天然記念物に指定されています。境内中央、神殿正面のくすのきは樹齢二千六百年、「乎知命御手植の楠」とあり、それを少し離れたくすのきには樹齢三千年、「天然記念物 能因法師 雨乞いの楠」とありました。かの有名な能因法師もここを訪れたのですね。また神社の「国宝館」は武具の収蔵で有名です。その数は、全国で国宝や重要文化財に指定されているものの4割近くにのぼり、なんと源義経のものと伝えられる鎧や弁慶の薙刀までもあるそうです。残念ながら時間の関係で見学することはできませんでした。
いよいよ二日目のウオーキング最初の橋、全長328mの「大三島橋」です。橋の長さは比較的短いのですが、バスを降りてから橋までのアプローチが約1.5kmと長い。おまけに橋が高い位置にあるので、道はすべて緩勾配とはいえ、登りです。左右が雑木林で、絶え間のない鳥のさえずりと咲き誇る草花を楽しみながら歩きました。
橋を渡り終えて一般道で待機するバスまで、また長い距離を歩きました。
次は大島へ渡るのですが、時間の関係で、ウーキングが予定されていた「伯方・大島大橋」はパス、大島の道の駅「よしうみいきいき館」に直行しました。途中、車窓から切り出された石がたくさん積み上げられているのを見ました。有名な「大島石」はここがその産地だそうです。
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道の駅「よしうみいきいき館」は下田水港にあり海が目の前です。来島海峡にかかる三つの大橋が一望できます。またここは来島海峡の「急流観潮船」が発着し、ウォーキングやサイクリングで橋を渡る人達が一息入れる場所でもあります。お土産を買ったり、休憩したり、自転車の点検をしたり、記念撮影をしたりと、今回のウォーキングで一番のひとだかりでした。
眺望は最高です。青く広々とした海と陽光に映える島々の緑、青い海原に白波をたてて橋に向かう観潮船と100mはゆうに越をえて林立する「来島海峡大橋」の白い主塔群、優美なケーブルの曲線と緩やかなむくりをもつ桁の線が遠くかすむようにつながる様は、実に雄大で美しいものでした。
ここで小休止と記念撮影をして、いよいよ「しまなみ海道を歩く」の最後の橋に向かいました。
来島海峡大橋は第一大橋が960m、第二大橋が1515m、第三大橋が1570mで、全長4045mの長大橋。世界初の三橋連続のつり橋です。橋の上を1時間以上歩くわけですからその長さが実感できます。路面は海面から約50m、17階建てのマンションの屋上の高さ位になります。主塔が建つ馬島や武志島などの島はすべて橋から見下ろす形になり、見晴しにを遮るものがありません。橋は緩やかなむくりがついているので、歩き始めると青く晴れ渡った大空に向かって登っていく感じになります。ピラミッドは天に架ける橋と聞いたことがありますが、そうかも知れないとなどと思いながら歩きました。
幸いなことに、車道の車は少なく、ときおりの通行音もウォーキングを煩わせるものではありません。橋の両側に歩道がありましたが、人が歩けるのは右側のみで、対面通行になりましたから、今治側から大島に渡る人や自転車に注意が必要でした。若いお父さん、お母さんとサイクリングを楽しむ孫によく似た子供達には思わず、「ガンバレ!」と声を掛けてしまいます。寝そべるような形の自転車にのった外国旅行者ともすれ違います。若い女性の一群が、レンタルサイクルに乗って、「チョー、気持ちが良い」と歓声を上げて通り過ぎていきます。
欄干に寄ると、青い海にさわやかな風。近くは馬島の白い灯台、遠くは今治の市街地がかすむように見えています。ここまでの歩いた距離が、約8kmのはずですが、疲れもなんその、気分はすこぶるつきの爽快さです。
この橋の路面を支える桁は、高さが4.3mもある鉄骨の箱型で、先端はひし形になっていて台風などの強風を逃がす工夫が施されていました。
第二大橋の下が中水道、第三大橋の下が西水道です。両水道ともに潮流が激しい。大潮時には最大10ノット(時速18km)、落差2.0mにも達し、「八幡渦」と呼ばれる大渦が出現するそうです。この日は大潮ではなかったのですが、渦をあちらこちらで楽しむことができました。
第三大橋付近で、今治市街地に高い表示塔があるのに気が付きました。上下にSとNが電光表示され、真ん中が↓の矢印でした。帰って調べてみると、潮流観測所の信号塔。いわば海の信号機みたいなもののようです。
船の航行は通常、右側通行ですが、ここでは「順中逆西」と言って、船が潮流に乗って航行する場合(順潮)は中水道、潮流に逆らって航行する場合(逆潮)は西水道を進み、潮流が北向きの場合は右側通行、南向きの場合は左側通行に切り替わります。こうした切り替え方式を採用しているのは世界で唯一、ここだけだそうです。
かすみの中にあった今治の造船所群が次第にはっきりと見え始め、二日にわたるウォーキング「しまなみ海道を歩く」も最終地点が間近かです。
吊り橋のケーブルが今治側のアンカーレイジに固定される姿を右に見ながら、橋を離れてまた長い距離を歩きました。
終着点の来島海峡展望館付近についたのが、午後1時前ですから大山祇神社を出てから約4時間の行程でした。この日の歩行距離が13kmで二日間で約25kmを歩いたことになります。86才の先輩を含む37名、全員の見事な完歩です。
勿論、12期の久保田靖子さん、古藤知代子さん、高見政博君も元気一杯、笑顔一杯でした。
今治の「タオル美術館」で遅めの昼食をとって、帰路につきました。あわてものの私はもときた道を帰るものとばかり思っていましたが、ルートは松山自動車道から徳島自動車道を経て大鳴門橋、そこから神戸淡路鳴門自動車道に入り、淡路サービスエリアでの小休止でした。言ってみれば、瀬戸内海国立公園に架かる本州・四国連絡橋を大きく一回りした格好です。
淡路サービスエリアから見る世界最長のつり橋・明石海峡大橋は、すでに暮色の中、ピンク色に美しく染まっていました。対岸には舞子、神戸、大阪と、いつもの大都会の市街地風景が広がります。明石海峡大橋の車列は延々と続き、切れ目がありません。巨大貨物船が通り過ぎます。それらの物量は、突然のように、しかも圧倒的です。
ここに来て、ようやく「しまなみ海道を歩く」が終わることを実感しました。
二日間にわたり名にし負う「しまなみ海道」のウォーキングを十分に楽しみました。
群青色に輝く海と連なる島々の鮮やかな緑の絶景に目を瞠りながら、心地よい初夏の海風に吹かれて歩いた長大橋群、その道は「海の道」そのもの。そしてまたそれは、長い歴史の年輪と島々に暮らす人々のたしかな営みに彩られた「人の道」でもあったようです。
追記:私ごとで恐縮ですが、一緒に行った家内は大喜びでした。
そのせいでしょうか、私への待遇が少し良くなったようです。
しかしこれも、年季の入った夫婦の事とていつものように、
そう長くは続くまいと二人して笑っています。
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張 志朗様
「しまなみ海道」をウオーキングした記事を拝見。あの日、同室の宿泊者・7期の清水です。
12期の妹、16期の弟(さいたま在住)にも、帰るとすぐ伝えました。好天に恵まれ、心洗われる二日間でした。貴兄の鮮やかな筆致にあの旅が蘇ります。海と空の大自然の中にテクノロジーの結晶とも言える見事な大橋が融合し、実に絶景でした。伊予の国の一宮、大山祇(おおやまずみ)神社の楠木の樹齢はともあれ悠久に思いを寄せました。貴稿を大切にします。
丁重なコメントありがとうございます。その節はお世話になりました。「しまなみ海道を歩く」にも書きましたが、同期の吉瀬さんのお兄様である清水先輩と同行、同室させてもらえたことを嬉しく思っています。また、清水先輩の健脚ぶりとその明晰なお話に感じることが多く、年齢を重ねても斯くあるべしと励みになりました。
つたない編集ですが、「12期の広場」も開設以来7年目です。こうして先輩の方々、後輩の皆さんとHP上でも交流できるのはなによりの喜びです。これからもよろしくお願いいたします。