12期の広場
12期の広場
2013年4月1日
theあの頃-読書いろいろ
末廣君(8組)はドラえもんのポケットを持っています。いつも懐かしいものを出してくれます。今回は図書部(図書室)の新聞?「BOOK END」第3号(昭和33年7月1日)、第5号(7月19日)を出してくれました。
私たちが2年生だった時の新聞です。手島先生が「館長の言葉」を3号に書かれ、5号では木曽先生が図書館長として「図書館で思う」を書いておられます。この間に館長が交替されたものと思われます。ほかに、林校長が「図書館利用について」、大谷先生が「学生時代の読書の思い出」を書かれています。お名前を見るだけで懐かしい気持ちです。
また、宮本百合子「文学と生活」、イプセン「人形の家」、ゲーテ「若きヴェルテルの悩み」などの読後感想文も出ています。読書会もやっていたようで、ヘッセの「車輪の下」や鶴見俊輔らの「現代日本の思想」の読書会の予告が見えます。
ところでこの頃市岡生にどんな本がよく読まれていたのでしょうか?アンケートの結果も見えます。全学年では、男子で「友情(武者小路実篤)」「破戒(島崎藤村)」「坊っちゃん(夏目漱石)」、女子では「赤毛のアン(L.M.モンゴメリ)」「波(?)」「破戒」がベスト3に上がっています。われわれ2年生では「デミアン(ヘッセ)」「アンの青春(モンゴメリ)」も出ています。他の学年では「悲しみよ今日は(F・サガン)」「人間の条件(五味川純平)」「アンナ・カレーニナ(トルストイ)」「大地(パール・バック)」の名が見えます。
図書室のことを当時の図書部員の方に聞いてみたい気がします。
この「12期の広場」の2月号は8組の学級文集「烏合の衆」特集でした。50篇強の作品から4篇をご紹介していますが、その投稿者二人、山元君と塚本君(ペンネーム:エエ男)が物故されています。烏合の衆2冊に出てくる思想家、作家は漱石、太宰治、中野好夫、西田幾太郎、ルター、カント、ゲーテ、ニーチェ、ショペンハウエルなど。古典に偏っていますかね。
では、この文を書いている私自身は何を読んでいたでしょうか?
わたしが高校時代ずっと小遣い帳を付けていたことは以前(2012年4月)ご紹介しました。これを眺めているとわたしの読書遍歴が見えてきます。高校に入ってすぐ読みだしたのがトルストイの「戦争と平和」、中学3年の2月に映画の「戦争と平和」(オードリー・ヘップバーン主演)を見たためと思われます。
引き続いてトルストイ「アンナ・カレーニナ」、ロマン・ロラン「ジャン・クリストフ」、ルソー「告白録」と続けざまに3、4か月のうちに読んでいます。このころは読みだすと止まらなくなり、大正橋から学校まで歩きながら読んでいました。
微笑ましいのは徳富蘆花「不如帰」を英訳本で読んでいることです。読み切れたとは思いません。単なる見栄だったかもしれません。奈良女子大・英文科の従姉がエミリー・ブロンテの「嵐が丘」を原書で読んでいたのを見て羨ましく、早く大学に行って原書を読みたいと思ったものです。
2年になって俄然漱石が多くなっています。自分の流儀として岩波書店の新書版「漱石全集」を古本屋でしこしこと買い集めながら読んでいました。今も座右に置いています。古本屋といえば、千日前の電停前にあった「天牛」によく通いました。この店の薄暗い奥におじさんが正座していて甲高い声でなじみ客と古本の話をしていました。わたしの「忘れえぬ人」のひとりです。漱石は女性に好かれていないだろうとずっと思っていました。ところが今回何人かの同期の女性に聞くと高校時代によく読んだ本として漱石を挙げていました。そういえば「京都漱石の会」でも女性会員が大勢おられます。
北村先生の宿題で「女工哀史」を読みましたが、小遣い帳に購入記録がありません。学校の図書館か府立図書館で借りたのかもしれません。
このころの思い違いは「市岡に入学すれば知識階級のはしくれだ。」と思っていたことと「一生かければ岩波文庫すべて読みきることができるし、それが意味あることだ」と思っていたことです。
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市岡の森の花見もにぎやかに終わったとFBで同窓仲間から聞きました。
京都ではまだ堀川の八重桜が満開です。
「読書」の補遺とつもりで 蛇足を投稿します。
1.手許の「文芸」夏目漱石読本(昭和30年6月)に「漱石はどう読まれているか」という調査の結果が出ています。
1-1 岩波文庫の1年間の売れ筋順位。(明治以降の日本文学)
25位までに6作品が入っている。上位3位まで漱石。
1位 坊ちゃん、2位 草枕、3位 心、11位 三四郎、12位 猫、22位 道草
1-2 足立区の都立高校の3年生へのアンケート(市岡で言えば8期生に相当)
好きな作家の順位:
山本有三、芥川龍之介、夏目漱石、トルストイ、島崎藤村、森鴎外 以下略。
読んだ漱石作品:
坊ちゃん(91.6%)、猫(72.0%)、草枕(58.4%)、三四郎(48.6%)、
心(37.5%) 以下略、初期の作品がよく読まれている。
感銘を受けた漱石作品:
坊ちゃん、草枕、心の3作品はほとんど差がない。以下行人、猫とは大差あり。
初めて漱石作品を詠んだ時期:
小学校(11.6%)、中学(76.0%)、高校(7.3%)忘れたという人もいて100%には ならない。
2.全国学校図書館協議会の調査(2012年)で現在の読書傾向を見ると
平均読書冊数:
小学生(10.5冊)、中学生(4.2冊)、高校生(1.6冊)
20年の傾向を見ると小学生、中学生は増加傾向だが高校生は減少傾向。
1冊も読まないという子が高校では53%も。嘆かわしいね。
3.身近な例
我が家の孫娘、ことし中学に進学。ここの春休みの宿題が「入学式までに20冊の本を読むこ と」。3月中に宿題を済ませた、と言っていた。
最近の子は読書以外にすることが多いので仕方がないかも知れません。それでも成長とともに読書から遠ざかるというのは残念。
漱石作品で「心」が上位に来ている。あまり愉快な本ではないのですが。いま、Eテレの「100分de名著」は「漱石の「こころ」(本当は平かなですね。)を取り上げています。伊集院光さんはこの本を中学1年で読んだそうです。さすが早熟。