12期の広場
12期の広場
2024年10月1日
ひろばリバイバル
生月島漂流記
6組 駒崎雅哉
(一)
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50cmのコチをつり上げた。
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家を出る経緯については、省略するが、当初は、鴨長明又は吉田兼好の生活スタイルが目的で「方丈記」と「徒然草」を持って出たものの爾来8年半、今や島の生活にドップリ浸かってしまいミイラ化している自分に呆れている。
(二)
島での生活は、先ず歩くことから始めた。1日約2時間距離にして4~5キロ、春夏秋冬夫々に美しい景色の移り変わりを楽しんでいた。毎年9月の最終土日には、平戸ツーデイウオークが開催され全国から3千名程の参加者が有り、初日の土曜日にはこの島を歩くことに成っている。
自炊の為料理も学んだ。この島の北端では、東シナ海と玄界灘が合流する為、多品種の魚が生息しており、毎日新鮮な魚を味わえるのが素晴らしい。やがて船外機付きのボートを買って釣を楽しみ、クエまで釣りあげた。4キロほどのクエにしては小形で在ったが、鍋にして食うと地元の漁師連中から「バカだなあ、アラ(クエ)ならキロ1万円で売れるのに」と揶揄された。島では娯楽の1部としての祭事が多い。春・夏・秋の祭礼には、必ず鯨が売りに出される。盆と正月には、若者の帰省が多い。全国の他の離島同様年年過疎化が進み、私が滞在した8年半で1/4の人口減と成った。最近では団塊の世代が定年を迎えUターンしてくるのと田舎暮らしにあこがれてのIターンも見られるが、人口流失のスピードにはとても追い付けない。
しかも残念ながらこうした移入者に対して行政から何の生活支援も見られない。
(三)
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島のバンド「デラ・ルンナ」のボーカルとして
「スタンド・バイ・ミー」を歌う |
生月島には、「古式捕鯨」と「カクレキリシタン」の二大伝統文化が有り、今も継承されているが、今後も守り継承し続けるには、新しい文化(血)との融合を 図る事によって初めて可能と成ろう。幸い宣伝の影響で最近は、関西からの観光客も増え、学生達の体験学習を通じて島の文化は、徐々に伝播しつつある。従い これからの課題は、I・Uターンの人々を如何に積極的に受け入れ共存するかである。
私の場合、企業年金の減額により家賃が払えな くなり10月末で島を引き上げる結果と成ったが、もし行政からの何らかの支援が得られたならば、多分この島を終の棲家に出来たのでは・・・。しかし現在 は、一介の漂流者でしかなかった事を残念に思う。毎年税金と家賃を入れると120万円近く行政に支払っているにも拘わらず。
(四)
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水耕栽培で甘いトマトを作る。
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この島での漂流生活を終 え、新たな漂流生活を求める旅を続ける今年71歳の私も75歳に成れば断食修行を始めようと思っている。その目的は、自然死において西行法師の様にその到 来時期を感知したいからである。「願わくば桜の下で春死なん・・・・」の歌の通りに3月の満月の夜に死んだのは断食修行の結果と聞いている。
(五)
引っ越しに際し全ての荷物を人に譲ったので、10年近く付き合った家具類が徐々に引き取られて行くのを見ているのは、寂しい。荷物だけでなく、身ぐるみも心さえも剥がれてゆく感じだ。考えるに次の世代に語り継ぐべき何物をも持ち合わせない現状に不安・恐怖を感じる今日この頃である。
しかし唯一云えることは、原発だけは断じて子孫に残すべきでない。その為大阪にて毎週金曜日夕方6時から7時半まで関電本社前で叫んでいるので時間と興味のある方は合流下さい。待っています。(完)
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