12期の広場

12期の広場

第9回利根川 川歩き(平成23年5月9日~11日)


4組 川合 兵治
 

バンザーイ!!

 平成19年10月31日に河口の銚子をスタートしたこの利根川歩きも、足掛け4年の歳月を経ていよいよ(当面の最終目的地)八木沢ダムに向かう日が来た。(当面の最終目的地)というのは、八木沢ダムに堰き止められた神秘的なムードが漂う「奥利根湖」の先にあるといわれている利根川源流までの残り約20キロの行程はボートを必要とし、沢登り、岩登りありの道なき道を行くことになり、古希を迎えた体には冒険が過ぎるということで断念した次第である。また日を改めて、別ルートで源流を確認する案も出ているが、「利根川歩き」としてはこれが最終回となる。

 また今回は、3月11日に発生した東日本大震災被災状況も配慮し、予定を延期する意見も出たが、「だからこそ元気を示そう」ということで川歩きは決行することにしたが、当初計画していた12期全体の希望者を募っての湯檜曽温泉での大打ち上げ会は取りやめとした。

 1日目 台風1号がフィリピンはルソン島近辺で発生し、その影響が危惧される中、全員5時起床で元気いっぱいJR水上駅に午前9:20集合。そこから水上高原スキー場、藤原スキー場、宝台樹スキー場などのある奥利根スキー場群の入り口「大穴スキー場」近くの前回最終地点、大穴変電所前(河口から約259キロ)までバスで移動、側のコンビニで昼飯の弁当などを調達し、10時にスタート。熊が出る可能性があるということで、西條は用意してきた小さなカウベル、川合は道端に置き忘れられていた熊除けの鈴を鳴らしながら、榎本は呼びこの笛を時々吹きながら、平均勾配約7度のバス道を歩く。この日は心配した台風1号の影響は全くなくピーカン。標高600メートル前後あるこの行程の5月は、鮮やかな新緑と満開のさくら、さらには八木沢ダム途上にある奥利根三湖のうち二つ、藤原ダムの藤原湖と須田貝ダムの胴元湖にゆったりと貯えられた水のエメラルドグリーンに彩られ、所々で利根川の清流に接することができ快適そのものであった。お蔭で大過なく(期待していた?熊に出会うこともなく)午後2時過ぎには一日目の宿「民宿やぐら」に到着。早速民宿の露天風呂を満喫。夜は近辺で獲れたという月の輪熊のクマ鍋で精をつけ、山菜料理を愉しむ(普段でも、民宿の直ぐ近辺まで熊や野ざるがエサを獲りに出没し、奥利根名物?のマムシも徘徊し、地元の人は今でもサル以外は折りにふれて食べるという)。


閑話休題
奥利根三湖(八木沢ダムの奥利根湖、須田貝ダムの胴元湖、藤原ダムの藤原湖)に貯えられた水の認可総発電力はおおよそ31万キロワットであるが、福島原発停止中の現在、関東地域の貴重な電力源として活躍している。また、藤原湖の湖底には、奥州平泉の藤原一族が隠れ住んでいたという伝説が残る藤原郷の民家約160所帯と、田畑山林約150ヘクタールが沈んでいるという。

 2日目 最終日だというのに、台風の影響で残念ながらかなりの雨に見舞われた。それにもめげず、NHK朝ドラの後9時ごろ、全員元気に出発。民宿近くの八木沢ダムへの入り口、屋倉橋(全長おおよそ8メートル)からは一般開放はまだ解禁になっておらず通行止めのところを、某製紙会社山林調査隊をよそおって通過。屋倉橋から八木沢ダムまでは約8キロのゆるやかなのぼりであるが、最後の約1キロのつづら折りの坂は勾配約30度(に見えたが実際は10度ほど)で正に青息吐息の行程であった。唯一の救いは山林に囲まれた神秘的なたたずまいと、澄んだ空気、時折見える利根川の清流であった。ダムの堤頂にあるネイチャービュー八木沢(標高850メートル)まで帰路を迎えに来てくれた民宿の主も驚くほどの速さ(2時間弱)で坂を上りきった。その神秘性を一層増した雨にけぶる奥利根湖を背景にバンザーイ!!実に爽快な気分であった。民宿で用意してもらった昼の握り飯を食べる間もなく、奥利根湖の先にある水源を未練がましく目で追いながら、民宿に戻り、露天風呂で4年の歳月のロマンを語り合い、またまた民宿の主の心温まるサービスに甘んじて、主の運転でその夜の宿湯檜曽温泉街まで送ってもらう。季節外れでもあったが、さびれた温泉街唯一賑わいを感じた宿「湯の陣」の夜は、早くも次なる川歩き計画(荒川になる予定)に花が咲いた。


閑話休題
日本のダムの総数は約3,000ヵ所。堤高No.1は黒部ダム186メートル(八木沢ダム131メートル)。総貯水容量No.1は徳山ダム6億6千万立方メートル(八木沢ダム2億430万立方メートル)。総認可発電出力No.1は信濃川水系の南相木ダム(上部)と上野ダム(下部)あわせた282万KW。ちなみに世界No.1はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ三国の国境にまたがるイタイブダム(堤高196メートル、総発電出力1,260万KW)であるらしい。

 3日目 利根川源流踏破を祝っての谷川岳山頂観光もあいにくの雨で取りやめとなり、全員久方ぶりにゆっくりとした朝をマージャン、囲碁に興じてすごし、午後帰路に着く。

いや、本当によく歩いた!! いい仲間がいてよかった!!!


“第9回利根川 川歩き(平成23年5月9日~11日)” への3件のフィードバック

  1. 川村浩一 says:

    川歩きの皆さん、おめでとうございます。
    水上温泉の祝賀会には出るつもりでしたが、残念です。あらためて祝賀会を企画してください。
    (4年前、利根川の源流を目指して歩くつもりと聞いて 必ずやりきる人たちだとは思っていました。)

  2. 張 志朗 says:

    「川歩き」は足かけ5年、総距離は300kmのいわば「壮途」と呼ぶにふさわしい企てであり、古稀を目前にした後期高齢者予備軍にあっては「気宇壮大な暴挙」でもあったと思っています。見事なしとげられた事、こころからお祝い申し上げます。またリ-ダ-であった貴君が、果たされたご苦労に深い敬意を表します。(ここまではどこかでの挨拶のようですが、正直な気持ちです。)
    特に貴君が書かれた「添付地図」は「生(なま)」で、「川歩き」の全貌をリアルに伝えてくれました。大変だったでしょう。「12期の広場」開設後、初の連載物。素材と時系方式、そしてその内容、どこを切り取っても申し分のない記事で、明らかに「広場」の軸になりました。HP委員の私としては感謝感激です。是非また何時か、「地図」を描きながら感じた諸々を聞かせてもらいたいと考えています。ありがとう。

  3. 川合兵治 says:

    川村&張兄殿
    コメントありがとう。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です