同期会

「12期の広場」 8月号のラインアップ

 8月です。梅雨が明けたその日、朝早くからの激しい蝉しぐれに驚いたのもつかの間に、ここ最近のうだる猛暑には逃げ場がありません。京都在住の友人から時間に合わせて部屋を移動し暑さをしのぐと聞いた事がありますが、我が家の実状からはそれも叶わず、冷房嫌いにもかかわらずクーラーの効いた部屋に掛け込みます。これから約1か月半位この状態が続くのだろうと思うと、正直うんざり。夏を楽しんだ時代が遠く懐かしい。
 そんな中、届いた柴崎友香さんの芥川賞受賞の知らせは、文字通り気分爽快のビッグニュース。「文藝春秋」を購読し、芥川賞受賞作品にそこそこの関心を持っていただけに我が事のような驚きと喜びが込み上げました。世に文学書は星の数ほど存在しますが、その中にあってこの栄えある賞を射止められたこと、なにをおいても心からお祝い申し上げます。
 それにしても4回目の候補作での受賞とは。以前の3回の候補作作者が市岡高校の卒業生であったことに気が付かなかったこと、また読んでいなかったことは全くの迂闊と反省しながら、あたふたと本屋さんめぐりをする自分に、笑ってしまいますね。
 7月25日、ごく普通の駅の書店で20冊程、平積みされた「春の庭」(今回の受賞作)を見つけ、やっとの思いで手にしました。一気に読みました。
 最近の受賞作のいくつかで、読み始めて途中で投げ出すことがありましたが、「春の庭」は最後までしっかり読み通しました。文章が簡潔で、ごく普通の日常がさりげなくそして淡々と描写されているなあというのが強い第一印象で、読みすすむに従い、自分の薄皮をはがされるような感慨にとらわれたのが不思議でした。また、一点を深く静かに見つめる作者の眼差しがすぐ傍にあるように感じながら、興味深く読みました。涼しい時間にすずしい場所であらためて読み直し、じっくりと味わいたいと思っています。
 「市岡高校のDNA」と言うと少し面映ゆい感じがします。しかし、願わくばそのDNAよろしく、柴崎友香さんの更なる飛翔に期待したいと思います。今月号に榎本進明君が書いてくれた東京市岡会の記事の中に、柴崎さんの写真があります。ご覧ください。
  1. 東京市岡会がありました」 ・・・・・・・・・・・・・・・ 8組 榎本進明
  2. 『写真短信』-圓尾博一君の個展がありました  ・・・・・・  7組 張 志朗
  3. 『トピックス』- 高校野球大阪予選 母校野球部敗れる
 以上

東京市岡会がありました

8組 榎本進明

 平成26年7月12日(土)13:00から新宿三井ビル54階で開催されました。
開催に先立ち、9:00から15期近藤太一さん主催のミニツアーがあり参加しました。
今年は山手線・日暮里駅に集合してお寺巡りが主。おりしも東京ではひと月早い新盆の施餓鬼でお寺は賑わっていました。前日に台風8号が関東を通過して暑い一日となりました。

 昨年のミニツアーはNHK文化センターの見学で主に室内でしたが、今年は暑い中テクテク8キロを3時間歩き通しました。谷中~上野までこんなに見るところが多いのかと驚きました。正午にこのツアーを切り上げて新宿に急ぎました。同窓会場に着いた時は身も心も頭の中も疲れ果てて、立食パーティーでも立っておられず座りこんでしまった始末。しんどかったです。

最初は駅を出てすぐの長久山・本行寺。江戸幕末長崎伝習所提督永井尚志(ながいなおゆき)の墓碑がある。
江戸時代宝くじ発売所跡、護国山・天王寺大仏。全生庵は阿部首相座禅寺、山岡鉄舟のお墓がある。

宝くじ発売と関係あるのか不明だが納骨堂の黄金の観音様がまばゆかった。 山岡鉄舟は勝海舟と協力して江戸無血開城を実現させた人。維新後は剣術道場を開き、無刀流を創始。書家としてもすぐれた人であった。全生庵には三遊亭圓朝のお墓もあった。

三遊亭圓朝のお墓の前で。
谷中の土塀を見て歩くのも楽しい。
第十五代徳川慶喜候の墓(神道式)
余生を駿府で過ごし大正2年(1913年)77歳で没しました。
東叡山・寛永寺の両大師。寛永寺開山慈眼大師天海大僧正、第十八代天台座主慈恵大師良源大僧正をお祀りしている。

 オランダ一等軍医ボードワン博士の胸像とレリーフが上野恩賜公園にある。医学講師として1862年から1871年まで滞日した。かつてこの地は寛永寺境内であり、上野の戦争で荒廃したのを機に大学付属病院の建設計画が進められていたが、博士はすぐれた自然が失われるのを惜しんで政府に公園づくりを提言し、ここに1873年日本初めての公園が誕生するに至った。

 12期生の圓尾博一君が毎年出展している東京都美術館をはじめとする美術館群や上野動物園を過ぎると東照宮があります。ひときわ目に着くのは日本に一つしかない金箔の唐門である。祭神は徳川家康・吉宗・慶喜です。灯篭はお化け灯篭と言われるほど大きく。五重塔は隣の動物園の敷地内に建っています。



 

 最後に上野と言えば西郷さんがやはり有名ですね。そして彰義隊とその墓。

 ここまで来ると疲れ果てて息も絶え絶えでした。それにしても近藤さんのスタミナには感心しました。元気のいい人を連れて不忍の池まで案内されていました。私はここでリタイアいたしました。上野駅から乗り換えなしの山手線で新宿の同窓会場に向かいました。


 新宿三井ビル54階の「新宿三井クラブ」が会場です。12:30に開場。13:00開始ですので間に合いました。受付を済ませてまず水を一杯いただき一息いれて開始を待ちました。

 東京市岡会は今回で第55回を迎えました。卒業50周年を迎えられた16期の方々が優待客です。開始早々校歌斉唱と挨拶が彼らの役目です。少ない人数で気の毒でしたが、17・18・19・20期の方々が応援してやり遂げました。

 会長は12期三浦孝文君のお兄さんでいらっしゃる8期三浦宏文さんです。ロボットで有名な学者さまです。経済産業省の「ロボット大賞」審査委員長をされていて今年も100個人・団体が最終選考に残り、そのうち10に絞って大賞を決めるようです。懸案は軍事に流用されるリスクを抱えているようですが、純粋に先端性と独創性で技術が優れているものが大賞をとることになるでしょうとおっしゃっていました。科学者は純粋なのだなと感じました。

 来賓のご挨拶や会員のお話が続き、あっという間にお開きの時間となりました。写真を撮る間もなく慌てて会長に入っていただき証拠写真を撮りました。また降りるときにエレベーター内で奇しくも「中藤くみさん」のお姉様で7期の「たみさん」にお会いして記念の一枚を撮りました。何かのご縁を感じました。疲れたにもかかわらず爽やかなフィナーレでした。

左より北浦副会長、中柴、佐藤同窓会会長、三浦会長、山田、榎本
エレベーターを降りてロビー階にて
中央女性が「たみさん」

追記;この原稿を仕上げているとき(7月18日)に44期柴崎友香さんが芥川賞を受賞されたというビッグニュースが入ってきました。我がことのようにうれしく舞い上がりました。発表が12日より前であれば祝賀会になりましたのにね。写真を載せなきゃと探したところ、出てきた貴重な1枚はピンボケでした。それで昨年(2013年8月号)の「12期の広場」の写真をあわせて掲載します。また、この機会に再度昨年の8月号をご覧ください。4人の作家の方々が載っていますので。

野球部の宇賀神監督を中心に撮った写真は残念ながらピンボケ。でも載せたかった1枚です。監督、柴崎さん、ごめんなさい。宇賀神監督は「今年の市岡のブロックは厳しい」でも「高校野球はやってみなければわからない」とおっしゃっていました。意気込みを感じました。期待をしています。柴崎さんは相変わらず静かでした。この方が金字塔を打ち立てたのでした。
昨年の東京市岡会では「週末カミング」を持参しました。年に2冊のペースで書いています。
大先輩のジェームス三木さんとのツーショット。今後のお二人のご活躍が大いに楽しみになりました。

「マルオヒロカズ 御伽草子展」がありました。

 圓尾博一君(3年6組)の個展、「マルオヒロカズ 御伽草子展」が7月15日から26日にかけて大阪市西区北堀江のガレリアセロで開かれました。

 今回は「生命に潜む精霊をたずねて、御伽草子を描いてきた集大成」としての個展で30号から100号の大作が中心でした。

 行ったのが25日の午後2時頃。気温35度前後の猛暑のまっただ中でしたが、1組の濱崎洋子さん、4組の古藤知代子さんと私(張志朗)の3人で1時間半位、たっぷりと『圓尾ワールド』を満喫しました。また齢70を越えてもなお、自然体でありながら強い創作意欲をみせる圓尾君に大感激でした。

 絵画を写真でお見せするのは難しく、またカメラ操作に不慣れで申し訳ありませんが、中心作品の9点を掲載しますのでお楽しみ下さい。

 入ってすぐに「玄牝」と題した100号の油彩作品が展示されていました。以前、圓尾君が「12期の広場」に投稿してくれた文章の中にこの作品について触れている部分があります。それを以下に再掲載します。

 「最近、奈良の女性映画監督の作った「玄牝」(ゲンピン)という映画をみた。妊娠した女性の自然分娩に取りくむ老医師と施設の物語で、女性の分娩シ-ンがまざまざと映される。私など妻の出産にも立ち会っていない者にとっては、ど肝をぬかれてしまう。しかし何と神々しい。この映画の最後のテロップに「谷神死せず、これを玄牝という」と老子の詩が映される。私も5年前「玄牝」という題で作品を発表した。私の作品よりはるかにすぐれて奥深い作品であるが、この女性監督のテ-マに私は強いシンパシ-を感じる。

 生命を疎かにする最近の風潮の中で、生命という宇宙的根元の意味をみる人に少しでも伝えたい。そういう気持ちでこれからも作品づくりをするつもりです。」
 


玄牝

誕生

善財童子

一寸法師

浦島

金太郎

牛若

てんぐときつね

フライングボーイ

高校野球大阪予選 母校野球部敗れる

-第96回 全国高校野球選手権大会 大阪地方予選-
母校野球部が初戦敗退


 第96回全国高校野球選手権大会の大阪地方予選が、7月12日から始まりました。我が母校市岡高校は、東高校、汎愛高校の強豪公立高校と同じブロックで、昨年同様2回戦からの登場。20日花園球場で汎愛高校に勝利した東高校と対戦しました。

 結果は残念ながらの1点差の初戦敗退。2点差を追っての9回1死、1、3塁での降雨2時間の中断が悔やまれます。今回は球場に行けず、自宅パソコンでの実況、経過観戦でしたが、はらはら、どきどき、いらいらのし通しでした。言うまでもなく高校野球はメンタルや勢いが試合の趨勢に大きな影響を持つだけに、降雨中断がなければなどと勝ち負けへの未練たらたらでした。

 とはいえ、母校グランドの狭さを初め、他校との野球環境のハンディキャップなどを合わせて考えると、その健闘は称えられるべきでしょう。

 12期野球部-剛腕強打の三井健司君に今大会の新聞報道記事のスクラップをお願いしていました。送っていただいた封書に「一試合で甲子園の道から敗退、悲しい事ですがこれも公立高校の宿命かもしれません。でも命のある短い間にもう一度晴れの舞台で校歌を歌いたいものです。」とありました。

 全くの同感です。伝統と憧れの甲子園めざしてなお一層の健闘をこれからも期待したいものです。


【高40期】 第2回40期生同窓会 開催のご案内

市岡高校40期 藤田 優子
市岡高校40期生の第2回同窓会を、2年後の夏2016年8月開催の予定で計画しています。
第1回(2010年末開催)は、皆さまのご協力を得て、出席者154名もの盛況のうちに終えることができました。
第2回も皆様お誘い合わせの上奮ってご出席下さいますようお願い申し上げます。

尚、詳細が決まりましたら、またこのホームページ等でご案内致します。

会の名前 第2回 市岡高校40期生 同窓会
開催日時 2016年8月 
開催場所 未定

【お願い】
前回は、宛先不明等でご案内をお届けできなかった方が70名弱いらっしゃいました。
できれば40期生の方全員にご連絡を差し上げたいと思います。
第1回の通知が届かなかった方、またご住所等に変動のあった方は、「異同通知」でご連絡先をお知らせ下さいますようお願い致します。

柴崎さんが「春の庭」で第151回芥川賞を受賞!!

我らが柴崎 友香(しばさき ともか)さん【高校44期】が、7月17日に「春の庭」(「文学界」6月号)で見事第151回芥川賞を受賞されました。
まことにおめでとうございます。

朝日新聞デジタル
毎日新聞
日本経済新聞

『12期の広場』 7月号のラインアップ

 7月です。暑い、暑い夏が本格的化しますね。年々、暑さが身にこたえ、その度合いがますます酷くなりますが、なんとか無事にこの夏を乗り切りたいものです。

 6月もいろいろありましたが、関心事の一つはやはりブラジルワールドカップではないでしょうか。15日のコートジボワール戦、20日のギリシャ戦、25日のコロンビア戦、私もそうですが、皆さんもはらはらどきどき、一喜一憂しながら懸命に応援されたことでしょう。

 ワールドカップがオリンピックに次ぐ世界最大のスポ-ツイベントであり、国の栄誉と期待を背負っての団体競技、とりわけ格闘技まがいの身体能力と技術、戦略戦術と瞬時の判断や決定力が競われたわけですから、選手は言わずもがな、テレビの前の私達も相当気合が入ってしまいました。結果は一勝も出来ず日本はまさかのCグループリーグ敗退、ただただ残念無念と言うほかありません。特に最後のコロンビア戦はコートジボワールがギリシャに負けただけに、あそこでシュートが決まっていたらなど、「たら、れば」の連発、口惜しさはいまも続いています。

 しかしこれは日本に限ったことではありませんでした。実に今大会は番狂わせの連続。前回優勝国であるスペインや強豪国のイングランドが早々とグループリーグで敗退したことを始め、予想外の結果に驚きました。言い換えればそれが勝負ごと、サッカーの世界最高位の大会である証しなのです。「それこそがワールドカップ」と言った選手がいましたが、言い得ての妙があります。

 ザックジャパン、特に選手たちは実に「よく耐え、よくやった」と思います。前回大会から4年もの長い歳月をただ一筋にワールドカップでの勝利を目指して、体と技術と心を鍛えてきた選手達には心からの拍手、拍手です。また彼らから大いなる勇気と多くの示唆を得たようですし、そのひたむきな姿が本当に美しいと思ったのは私だけではないでしょう。ギリシャ戦のスタンドに4年間の自分に自信を持って戦えとの応援横断幕がありました。その通りと同感しながら年甲斐もなく胸を熱くしました。

 熱狂的な祝祭の後に何気ない日常が連なるのは世の常です。屈してなお立ち上がるであろう選手達に声援を贈りたいと思います。月並みではありますが、「たかがサッカー、されどサッカー」です。しみじみとそれをかみしめながら、一方で昨今の霞が関の動きにかなりムッとしています。

 さて「12期の広場」今月号のラインアップです。記事は二編、写真を多くしましたのでじっくりとお楽しみ下さい。

  1. 「 2014市岡OB美術展 」
  2. 「 私のスケッチブック 」               4組   酒井 八郎

 *「私のスケッチブック」は新設コーナーです。絵を楽しんでおられる多くの同窓生に絵とコメントを気軽に
  投稿して頂けるように今月号から不定期で掲載します。ふるってご投稿下さい。

以上

2014 市岡高校OB 美術展

 『2014市岡高校OB美術展』が、6月8日(日)から6月14日(土)にかけて大阪現代画廊で開かれました。今回で15回を数え、市岡高校の恩師、美術部OBはじめ、母校にゆかりのある作家や美術関係者、愛好家から作品を募集しそれを自由に展示する形で毎年、開かれているそうです。

 美術展には12期同窓生、辻紘一郎君の絵画作品3点(『元宇品灯台(広島港)』、『瀬戸内海』、『鳥島』)をはじめ、26名の方々の44作品が出品されていました。作品の種類も多彩。絵画、木彫、平面、陶器、写真、竹細工、キルト、狂言面など、画廊の展示スペース一杯でした。

 会場で美術の梶野哲先生に50数年ぶりにお会いしました。現在81才、すこぶるつきのお元気。お話しぶりと雰囲気は少しもお変わりになっておられません。在学当時の美術授業の話や、10分位で書き上げた私の絵の手抜きを一瞬で見破られ、厳しいお叱りを頂いたことなど、作品鑑賞そっちのけで話し込んでしまいました。

 美術鑑賞は滅多にないこと、加えて美的感覚にも全く自信がないことからただただ作品の前に立ち、楽しむことしか出来なかったのが正直なところ。作品に対する作者の思いに心が温かくなったり、考え込んだり、表現の幅の広さに驚いたり、そしてその熟練の技に舌をまいたりなどしていました。24期の古川博通さんがたまたま会場に来られたのですが、家業を続けながら、時間を見つけてはコツコツと作品作りをされていると聞き、アマチュアの皆さんの心意気を強く感じました。

 我が同期生の辻紘一郎君の作品は広島在住であることから、瀬戸内に関するものばかり。忙しいなか、よくぞ絵筆をとる時間があったものだと思いながらも、ぶれることのない豊かな感性に感服です。

 元宇品灯台はかって私が住んだことのある場所のほん近く、忘れがたく懐かしい思い出がオーバーラップしました。添付します。お楽しみ下さい。

 会場に居たのが約2時間、来年をまた楽しみにして会場を後にしました。          (文責: 張 志朗 )
 


美術展会場全景1

美術展会場全景2

ご自身の作品「偽自然」の横に立たれる梶野哲 先生

元宇品灯台(広島)-辻紘一郎 作

『鳥島」- 辻紘一郎 作

「瀬戸内海」ー 辻紘一郎 作

私のスケッチブック

4組    酒井  八郎

 「6インチの荒目ヤスリ」、「1000番の耐水ペーパー」、「0.7mmのストレートドリル」、「K18の6mm引輪」、「シルヴァー3mmのパイプ線」、「0.5カラット用Pt DAI 6本爪」などなど、小学校教員をやめて45年、毎日、ノギスと時計用ピンセットを片手に、細かい宝飾品パーツや時計部品を扱い続けています。

 縁あって5~6年前くらいから一級建築士の建築デザイナーの指導を受けながら、グループで街のスケッチに出かけるようになりました。「ここで」と思ったら3~4時間、座ったまま。スケッチブックと格闘していますが、いつも時間不足、技能不足で引き揚げる始末です。

 市岡高校在学中の伊勢湾台風で大被害を受けた木曽川の河口の父母の里から4年前、『カラスに食べられる前によかったら食べて』と、送られてきた枇杷を見たとき、いつもと違って仕事を終えるとすっと描き始めてしまいました。子供の頃、田舎で見慣れ、捥ぎとって食べた想い出がそうさせたのかなと思います。今年も頂いたその日に枇杷を描きました。

 栗は中学校の恩師とミニ同窓会で箕面に出かけた夜、興奮醒めやらぬ内にと毬が付いたままを描きました。

 バラは前年に頂いたものを挿し木し、屋上で育てたのが立派に花咲かせたものです。

 仕事を終え、一息ついてから無心に描く。得難いひと時と、スケッチを楽しんでいます。

 「鉄は熱いうちに打て」のたとえに同じ、『感動した心』を大切にしたいと思っています。 


 

 

「12期の広場」 6月号のラインアップ

 6月、水無月です。旧暦による伝統的呼び名とは言え、雨が多いこの時候を「水無月」と呼ぶことにちょっとした抵抗感はありますが、どこかこの月は懐かしく、そして風雅とも言えそうです。

 4、5月の爛漫と躍動、7,8月の烈日にはさまれ、梅雨空のみがイメ-ジされる月とばかり思っていたのですが、なかなかどうして奥深い月です。

 「青梅雨」と呼ばれる雨があります。夏化粧にいそがしい山々や木々の青葉をなお一層鮮やかに色濃くさせて降る雨だそうです。「梅雨の中、静かにけぶる里山風景がどの季節風景より美しい」といった友人の言葉が、腑におちます。

 山川に蛍が舞い始めるのもこの時期、清流の鮎が優美に泳ぎ、それを追っての鵜飼が本格化するのもこの時期です。今月号にバラにまつわる児嶋雄二君の随想がありますが、私が、そぼふる雨の中、中之島バラ園でかすかに香るバラの香りに驚いいたのもこの時期です。

 紫陽花、花菖蒲、蝸牛、梅の実に枇杷や桜ん坊、そして「梅雨穴子」や鱧などなど、この時期の風物はささやかな私の心象にあってさえも多彩です。

 集中豪雨など酷い災害をもたらすことなく、しみじみと味わい深く移ろってほしいものです。
 

 2月号のラインアップで今年の楽しみの一つに「ワ-ルドカップの開催」を上げました。

 いよいよ6月13日からブラジルワ-ルドカップが始まります。これはサッカ-の世界最高位の大会で、オリンピックに次ぐ世界最大のスポ-ツイベントです。日本はグル-プリ-グでCグル-プ。コロンビア、ギリシャ、コートジボワ-ルと対戦し、決勝ト-ナメント進出とその先にある優勝を目指します。先んじて、なでしこジャパンが女子サッカ-のアジアチャンピオンの栄冠に輝きましたね。

 「野球は間合いのスポ-ツ、サッカ-は瞬間のスポ-ツ」とのたとえがありますが、見始めると約2時間、その瞬間から目が離せません。寝不足も覚悟しなければならないようです。ザックジャパンの選手達に思いを馳せ、その健闘を期待したいと思います。
 

 さて「12期の広場」今月号のラインアップです。榎本進明君が「第5回荒川・川歩き」の記事を書いてくれました。児嶋雄二君の随想とあわせてお楽しみ下さい。

  1. 五月の風とバラと」                      7組   児嶋 雄二
  2. 第5回 荒川・川歩き」                    8組   榎本 進明
以上